「上司に答えを求めるな!会社に正解はない」田端信太郎さんがSUMUSの新入社員に語ったメッセージ

2021/04/01(木)


2021年3月31日、株式会社SUMUSでは4名の新入社員を迎え、入社式「START UP」を開催しました。

そこで、弊社のSNSコミュニケーション顧問である田端信太郎さんより、新入社員に向けてのスピーチをしていただきました。

「初心忘るべからず」
「会社に正解はない」
「プロフェッショナルとは」
「嘘だけは、つくな」

など、日本の大企業から外資系、戦線気鋭のベンチャー企業など渡り歩き、何万人ものビジネスパーソンと出会ってきた中で、「ぜひ、これからの新入社員に知っておいてほしいというメッセージを熱く語っていただきました。

(以下、田端信太郎氏の講演メッセージより)

 

「初心忘るべからず」

世の中が大きく変わっていく中でも変わらないものもあります。その一つが「初心忘るべからず」という原則です。

皆さんも「Amazon(アマゾン)」はご存知だと思いますが、その創業社長のジェフ・ベゾスさんは企業理念として、「Every day is still Day One」という言葉を言い続けていたそうです。

「Day One(デイワン)」つまり、初日ですね。
入社初日、社会人一日目、あるいは社長であれば起業初日。この初日の気持ちを忘れずに毎日取り組もう、ということです。これは、私も自分自身にも言い聞かせている

初日の緊張感、意欲、フレッシュな気持ちで取り組むことができれば、めちゃくちゃ差がつくと思います。

とはいえ、2~3ヶ月経って慣れてくると、やっぱり心境は変わってくる。これは悪いわけではなくて、人間そういうものなんです。それをどうやって、常にDay Oneでいくか。僕は心がけだけ、精神論は嫌いなので具体的なアクションにしましょう。

例えば新入社員の皆さんはさきほど、決意表明を発表していただきましたが、その内容を紙に印刷して家のトイレの壁にはったり、パソコンのデスクトップにして常に目に見えるようなところに置いておくとかもできますよね。あるいはキーワード3つにまとめて、それをログインするパスワードにして日々入力して刷り込んだり。

私は自分自身に定期的にメールを送るように設定していたこともありました。そうやって常に初心を忘れないため、自分自身を振り返っています。

 

上司に答えを求めるな!会社に正解はない

会社と学校は何が違うと思いますか?

学校の勉強というのは、基本的に正解があります。でも、会社においては唯一絶対の正解はない。

だめな失敗ももちろんあります。例えば、経理で振込先を間違えて、違う会社に1000万円入れてしまったとか。誰も喜ばない失敗ですね。

でも、クリエイティブな分野、これまで前例がないようなことをやろうとするときには失敗することもありえます。失敗できないと、挑戦もできない。

だから、「失敗はだめ」というのも正解ではあるけれど、それを言いすぎると新しいチャレンジが起きなくなります。その状態は、きっと社長にとっては「失敗」です。

会社においては、何が失敗で何が正解かという分かりやすい線引きはなく、グラデーションの中でしか決まらないものなんです。

例えば今日、皆さんスーツにネクタイを着けている中、私1人だけノーネクタイ、ジーパンで着てしまいました。この服装はもしかしたら失敗かもしれない。でも、こうやってネタにしたり、入社式という場で第三者として話をするという視点でみれば、正解かもしれない。

客観的な唯一絶対の正解はありません。

学校には先生がいて、生徒に向かって問題を出すときには、基本的には先生は答えを知っている状態です。

会社の上司をなんとなく先生の延長で捉えている人もいるかもしれませんが、上司が部下に向かって無茶ぶりをするとき、上司の頭の中に正解はありません。

もちろん上司や先輩のほうが「経験」という点において皆さんより勝っている部分は多々あるので、「こうしたほうがいいんじゃない?」「こっちのほうが効くんじゃない?」とアプローチの仕方について意見を求めることはできます。

ただ、全員が未知の領域について考えるときには、新入社員でも新入社員でも上司先輩でも、全員が平等で公平なんです。

例えば学校の試験で、「コロナウイルスに効く薬の作り方」なんて、ノーベル賞を受賞した先生でも分からないような問題を出されることはありません。

でも、ビジネスの場においては、誰も答えを知らない問いを突きつけされることはざらにあります。なので、上司先輩に答えを教えてもらおうとするのではなく、ディスカッションのパートナーとして、アドバイスやサジェスチョンを求めるというような姿勢が良いのではないでしょうか。

上司の頭の中にも、正解はないですから。

2~3年もすると、先輩や上司に対して「この人何にも分かってないな」とかお客さんにたいして「分かってないな。情弱だな」なんて思うことが色々と出てくるかもしれません。

周囲の人が自分より分かっていない、というのはある意味当たり前の状況なので、正解にたどり着くプロセスの中で、自分はどう貢献できるのかということを考えてほしいです。

 

空気を読むな!新入社員の価値は、無知であること

決意表明の中で、「1年目から黒字社員になりたい」と言っていた人もいましたね。僕の直感ですが、世の中の新入社員はだいたい3年目くらいまでは赤字だと思います。

ではなぜ、多くの日本企業は新入社員を新卒で採用するんでしょう?たくさん採用して、お金をかけて教育をして、仕事ができる優秀な人材にやっと育ったと思ったら辞めてしまうリスクもあります。

中途採用ですでに実績のある人を、その時その場で連れてきた方が効率が良いとおもいませんか?

なぜ、あえて新入社員を採用するのか。どう思いますか?

新入社員:「社会貢献」
新入社員:「会社に新しい風を入れるため」

ありがとうございます。「社会貢献」というのも、面白い視点ですね。僕が用意してきた答えは「会社に新しい風をいれるため」に近いです。

こんな話があります。生物学的に正しいかどうかは分からない、という前提ではありますが聞いてください。

大きな水槽に金魚を100匹入れる。最初は自由に泳がせておきますが、途中で水槽の真ん中に透明のガラスで間仕切りをします。仕切りの反対側には進めないようにするためです。

しばらく時間が経ってから、その仕切りを外すとどうなると思いますか?もうそこにガラスの板はないのに、金魚たちは反対側にはいこうとしないんです。向こう側に行こうとしても途中で壁にぶつかる、という記憶ができてしまった。

じゃあ、この金魚たちを壁があった反対側まで泳がせるためにはどうすればいいか?

そう、「新しい金魚を入れる」んです。この新しい金魚は、もともとあったガラスの板の存在を知らないので、気にせず泳いでいきます。それを見た他の金魚も「あれ?あそこの透明の壁ないの?」と泳ぐようになる、というエピソードです。

「実はそこにガラス板があると思われていたけど、もうなかった」という話は世の中にもたくさんあります。

新入社員の皆さんって知識がないですよね。一般的に知識がないことは弱みだと思われるものですが、この金魚の話のように知らないことが強みになることがあり得るんです。

もともと水槽に入っていた金魚たちの状態を心理学的に言うと、学習性無気力感と言うそうですが心理的無気力というんですが、その状態を打破してくれるのが新入社員の存在です。

「そもそもなんで、あっちに行かないんですか?」空気を読まずに、そういった疑問はぜひ口に出してみてください。

だいたい皆さん、空気を読もうとするんです。「あそこには見えないけど壁があるから」と先輩に言われて「へぇ、そうなんですか」と物わかり良く、行かない人もいる。でも空気を読まない人は、涼しい顔して向こう側に進んでいったりする。

まだ何も知らない新入社員の皆さんに期待されているのはそういうことです。さっきも言ったように、上司や先輩が唯一絶対の正解を知っているわけではありません。上司や先輩の言っていることを「守る」だけでは、新入社員として物足りない面があると私は思います。少なくとも、感じた疑問を素直に口に出してみるということは、ぜひやってほしいですね。

今は特に、色々な意味で変化がおき、前提条件が変わっていることがたくさんあります。

Apple、Facebook、DELLなど時価総額何十億円というような凄い会社を最初に作ったのはだいたい大学生くらいの若い人です。若い人はそれまでの業界慣習は知りません。知らないからこそ新しいことができる。

無知だからこそ、ゼロベースで問題提起ができる。いまの皆さんが果たせる貢献というのはそういうことだと思います。

 

プロフェッショナルは金儲けを最優先しない

仕事をしていると、プロ意識、プロフェッショナルという言葉がよく語られるんですが、プロとはどういう人のことをいうんでしょうか。

プロフェッショナリズムの典型になっている3つの職業を知っていますか?

・医者
・弁護士
・牧師

です。

“profession” という言葉には、「職業」以外に「告白」という意味もあります。この三者の前では、皆さん色々なことを語りますよね。

医者も弁護士も牧師も、その人の隠したいような出来事の話を聞くことがあります。例えば弁護士ならば、どんな悪いことをしたのかとかを正直に話してもらえないとそもそも仕事になりません。

だからこそ、この三者は「秘密を守る」ということが強く求められる職業でもあります。守秘義務があるからこそ、安心して告白ができるんです。

皆さんもコンサルタントとして活躍していく中で、色々な企業秘密を知ることになります。そもそも秘密を知らされないコンサルは三流です。その時に、秘密を守るということは徹底してくださいね。

さらに、医者、弁護士、牧師は、金儲け最優先ではダメだと言われる職業でもあります。お客さんとこうしたプロフェッショナルは実は対等ではありません。プロである立場の人のほうが知識や経験で勝っているのが当たり前な状態です。

さらに医者も弁護士も牧師も、「人の秘密を知る」「不幸が飯のタネ」になる職業です。だからこそ、お客さんを口車に乗せて金儲けしようとすれば出来てしまう。

出来てしまうんだけど、それではダメで、もっと高い理想を持って

・お客さんにとっての自分のフィー
・顧客のビジネスの健全性
・顧客の属する業界、さらには社会全体にとっての影響

というより大きな観点で考えられるような人が本当のプロのあるべき姿だとされています。皆さんもそこまで考えられるようなプロになってほしいと思います。

 

1つ1つのミーティングを、バッターボックスに立つプロ野球選手の気持ちで

では、そうしたプロフェッショナルになるために、皆さんはどうしたらいいんでしょうか?

皆さんにとって、これから参加する1つ1つのミーティングは、プロ野球選手にとってのバッターボックス、歌手にとってのMステ出演です。

野球選手がバットを振らない、歌手が歌わない、ということがあり得ないように、ミーティングに出て、一言も喋らずにいるというのは無しです。私はそういう人は大嫌いです。

間違ったことでもいいから、何か言ったほうがいい。真面目な人ほど、「間違ったことを言うとおかしい」と思って口をつぐんで、メモを取ることに没頭してしまったりしがちです。

もしその場で発言ができなかったら、議事録にまとめてファクトとオピニオンを区別した上で自分なりに考えたことを社内のSlackやメールで回覧するなど、何かしらのアウトプットがない限り、その場に出る意味がありません。

これからはプロとして、1つ1つのミーティングを捉えてみてください。サッカーでパスが回ってくるように、ミーティングでも突然「〇〇君どう思う?」と振られることがあります。いつボールがきてもいいように、準備やイメトレをしておくというのも大事ですね。

また、「このミーティングで、何がどうなったらゴールなんだろう」ということは常に考えてください。サッカーで例えるとどっちがゴールポストか分からなくて、ただボール回しをしているだけ、それで仕事した気になっているようなことって世の中に多いんです。

自分で直接点を決められなくても、「今日のミーティングはどこまでいけばゴールなのか?」ということを具体的に決めてやっていくことも、めちゃくちゃ大事になってきます。

嘘だけは、つくな。

ここまでべき論を多く語ってきましたが、じつはやるべきことをやらないことよりも、やってはいけないことをやるほうが罪が重いんです。

とくに、小さなことでも、嘘や隠し事は絶対にしないでください。簡単なようで、実はこれが難しいんです。

例えば、「丸山君、今日の朝にお願いした〇〇工務店へのFAX送ってくれた?」と先輩から聞かれたとき。

(あ、やべ!忘れてた)

と焦るときもあると思うんです。このとき、中途半端にプライドが高くて自分を守るために「送りました!」と嘘をついて、その後先輩が見ていない隙に送ったりする人がいます。

僕みたいな、スレっからしオジサンになると、「あ、送っていなかったな」というのが顔を見て勘がはたらいたりします。で、FAXの送信履歴を確認したりします・・・(笑)。あるいはその工務店の人からFAXが届いていないというような連絡が先輩に入り、バレてしまったりするかもしれません。

こうなってしまうと、もう小一時間説教ですよ。上司や先輩との間の信頼関係にヒビが入ってしまいます。

つい、うっかりというのは誰にでもあることです。だから、上司や先輩が「あれやった?」とわざわざ確認してくるんです。でもこのときに、自分のプライドを守るために嘘や隠し事をされると、もうかばえない。

これって、小さいことですよね。でも、こんな小さなかけ違いから大トラブルに発展することはたくさんあります。意図的に隠し事をする、嘘をつく人がいると、組織やチームにとっては人間同士の信頼関係に決定的なヒビがはいります。

こんなときに、皆さんには、正直に「すみません。ついうっかりしていました。いますぐやりません。すみませんでした!」と言える人間であってほしいと思っています。

案外、ちょっとくらいならいいだろう、と思ってしまうんです。でも、嘘や隠し事をして最終的に損をするのは、嘘をついたその人自身です。

一番やばいのは、さっきのFAXの例で、先輩にバレないうちにFAXを送信して事なきを得た場合。こういうセコい小さな成功体験をつみあげてしまうと、より大きな嘘をつくようになってしまうからです。

だからこそ、私はこうした小さな嘘を見つけたときは、小一時間説教する。「これはやったらだめなことなんだ」と強烈に印象づけるためです。

ハッタリをつかうというのも、今後応用問題として出てくる場面はありますがそれはまだまだ先のことです。新入社員のうちから考えることではありません。

それよりも誠実にいることで、たとえ失敗してもミスしても、最後には助かる事が多い。小さな自分のプライドを守らない。それが最終的に自分を守ることになります。

僕は色々な会社を渡り歩いてきましたが、胸に手を当てて、そういう嘘をついてこなかったということは言えます。本当に色々なことがありましたが、なんとか助かってきた。また堀江さんや前澤さんのような創業オーナー社長とも、会社を辞めた後でもお付き合いさせていただけるのはそういう意味でのベースの信頼感ができているからだと思っています。

嘘を1回でもついたら最後、嘘ではないことを立証する責任が自分にやってきます。チームで仕事する上でもめちゃくちゃ大事なことなので、「嘘をつくな」このことは強く訴えたいですね。

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